「他人と深く関わらずに生きるには」
「他人と深く関わらずに生きるには」 池田 清彦 (著)
タイトルにちょっと惹かれて読んでみた。
惹かれたといっても、共感してという意味ではなくて、巷ではコミュニケーション、コミュニケーションと事あるごとに言われているカウンターとしてちょっと面白いかなと。
そういや池田さんって昨今の環境問題についても巷とは違う論説を張ってる人だよなぁ。この本もどうかなぁ、って感じで読み始めた。
「君子の交わりは淡きこと水の如し」と荘子の言葉から前半は始まる。
まあ、なんというか、人間関係でめっぽう弱ってる人なんかには、そうかぁ、なんて感じなのかもしれないけど特にこれといった話は無い。
目次には"車も来ないのに赤信号で待っている人はバカである"、とか"ボランティアはしないほうがカッコいい"とか"自力で生きてのたれ死のう"などなど、ちょっと刺激的というかキャッチーな言葉が挙げられていて話としては面白い。面白いというのは、また、偏屈おやじが面白いこと言ってるよ。という感じの面白さ。
でも基本的に人は人に頼らず自分で生きる。ってことは正論だから特に反論も無い。けど積極的な賛同も無い。(笑)
後半は世の中のシステムに関しての著者の提言となっている。
詳細はここでは挙げないけれど、いろいろ刺激的な提案を展開している。これまた結構読み物としては面白くてなるほど、それはいい案かも、というものもあけれど、論理として破綻しているところも目に付くなぁ。
ただ、私としては最後のほうで、個人情報についての話を展開している章があって、ここはちょっと考えさせられた。
今、個人情報の保護といって電話番号や住所やらも対象となっているけど、これらはぶっちゃけ、たいした情報じゃないと私も思う。これがリストとしてどこかの業者に渡ってもDMなどの程度かとも思う。ただ、この情報がネットに載ってしまうのはまずい。ネットでは目に触れる機会としてあまりに多いし、ネットに載ったものは決して消せない。それだけトラブルの確立が上がってしまうと思うからだ。
でもそれより、今後問題となってくるのは、個人の遺伝子情報だと著者は言っている。なるほど。
将来、簡単に遺伝子情報が判断できるようになって、たとえば病気の確立だとか分かっちゃったら、保険やら仕事やらに問題になるかも知れないことが想像できる。これは他人には絶対知られたくない個人情報だよな。いや、自分でも知りたくない個人情報かもしれないな。とにかく、遺伝子情報の扱いは将来考えられる問題だなと同感した。
それにしても、
世の中にはいろいろな意見があるね。なるべく自分の間口は広くしていたいと思う。
でも今はネットなど情報(信頼できるかどうかは別にして)を手軽に得ることができる。
単に間口を広くなんて言ってると惑わされちゃったりして。(笑)
惑わされないようにするにはやっぱり自分でも考えてみたり調べてみたりするしかないね。
by roadsterwalk
| 2008-08-24 22:10
| BOOK