チェ 39歳 別れの手紙
"チェ 39歳 別れの手紙"を観てきた。
監督 : スティーヴン・ソダーバーグ
チェ・ゲバラ : ベニチオ・デル・トロ
バリエントス大統領 : ヨアキム・デ・アルメイダ
本作品は"チェ 28歳の革命" に続く2部目。
前作でキューバ革命に成功したチェは、一通の手紙を盟友カストロに残して、次の戦いへと歩みだす。
「君(カストロ)はキューバのために離れられないが、私は私を必要とする地へ行くことができる。」
キューバでの政府要人としての保障された生活を捨て、独裁政権下のボリビアへ入るのだが、実際のところは、理想主義の強いチェを政府から外すようにアメリカから要求が出されていたようでもある。要求を呑まなければ支援関係にも影響することになると。もちろんカストロ初めキューバではチェを必要としていたわけだが、彼はキューバをカストロに任せて再び戦いの世界へ自らの意思で戻っていく。
本作品も前作同様に、音楽は必要最低限に抑えられ、ジャングルの音、話声、足音で、リアリティを出している。
しかし、今回は、その音楽の無い生の音は妙に緊張感があった。
前作では、キューバ革命は成功するのであるから最後はまあ、ハッピーエンドになるであろうと思いながら見ているわけで多少、気の緩みというか安心感がある。
しかし、今回は歴史がすでに示しているように、最後は捉えられて処刑されてしまう。という結末を知っているわけで、いつその方向へ物語りが進んでしまうのかと、つい、そう考えてしまう。
ただ、物語は劇的な緩急があるわけではやはりない。どらかと言えば淡々としている。
それにしても、チェは、キューバのときと同じように行動している。
初めはチェのような者でも成功体験からは抜けられないものなのかと思っていた。しかし、しだいに、そうではなく、同じことしかできないのだろうと思われてきた。それは、過去の経験ではなく、信念に基ずく行動だからである。(もちろん信念も経験から醸成されるわけだけど。)
今回は、ボリビア政府、土地の農民などの協力が思うように受けられない。にもかかわらず戦略は変えない。
あくまで"気持ち"で戦う。
ジャングルの中、敵に囲まれ銃撃線の末、チェは囚われてしまう。
囚われて手足の自由を奪われたチェを、敵の若い兵士が見張る。
ここで、二人は短い言葉を交わす。歳は、とか、結婚は、子供は、とか。
そしてチェは「縄を解いて自由にしてくれ」とストレートに言う。
敵の若い兵士の、短い会話とストレートな気持ちを受けたときの心の動揺が伝わる。
ほんの短い間にチェは彼の心を掴んでしまうかのようだった。
最後に、チェの処刑命令がでたとき、この若い兵士が処刑執行を自ら志願する。
まるで、チェに揺さぶられた己の気持ちを振り払うかのように。
悲しい結末。。
ええと、本、雑誌で知っていたチェ・ゲバラを映像で見せてくれて、納得させられたというか、いい機会でした。
でも、この作品はやっぱり万人受けではないですね。
by roadsterwalk
| 2009-02-14 17:39
| MOVIE